今回の【心理カウンセリングと心理学】のブログから、『コミュニケーション』を分類してご説明をし、『コミュニケーション』に対する理解を深めていっていただければと思います。
今回のブログは、『コミュニケーション』の分類-『目的』による分類というテーマで札幌『カウンセリング こころの相談所』がお話したいと思います。
『目的』による『コミュニケーション』の分類
『道具的コミュニケーション』と『自己充足的コミュニケーション』
アメリカの社会心理学者のフェスティンガーによると、『対人的コミュニケーション』には2種類あり、『道具的コミュニケーション』と『自己充足的コミュニケーション』があると言っています。
道具的コミュニケーション
『道具的コミュニケーション』とは、自分の『目的』を達成するため、相手に何かを『要求』する道具として使われるコミュニケーションのことです。
(例)
- 「○○君、この資料の作成を明日まで頼むよ」
- 「服選ぶの手伝って欲しいから、一緒に買い物に行こう」
- 「〇〇(子どもの名前)、今から遊びにいくぞ!!」
など
自己充足的コミュニケーション
『自己充足』とは、《自分の中だけで物事を終わらせて満足する》という意味です。
『自己充足的コミュニケーション』とは、相手に何かを『要求』するのではなく、『コミュニケーションを行うこと自体』が『目的』のコミュニケーションのことです。
(例)
- 「相談があるんだけど聞いてくれる?」と言って、相手を誘い、相手の意見も聞き入れず、ただただ愚痴を言う
- 同僚の輪に入って行って、自分のエピソードだけを語る
- 部下の営業成績が悪いのに、腹を立て、ただ怒りをぶつけるだけ
など
『道具的コミュニケーション』と『自己充足的コミュニケーション』のバランスが大事
『対人的コミュニケーション』は、『道具的コミュニケーション』と『自己充足的コミュニケーション』のバランスが大事であり、バランスが良いと『人間関係が良好』になり、バランスが悪いと『人間関係が悪化』します。
では、上記の例について、『反省点』と『改善点』を考えてみましょう!!
道具的コミュニケーション(例)
- 「○○君、この資料の作成を明日まで頼むよ」
このコミュニケーションは、上司が部下に対し、一方的に指示しかせず、部下の仕事の都合を聞いたりはしていません。
しかも、「明日まで」と言っていますが、もしかしたら、明日までに作れるような内容の資料ではないかもしれません。
『一方的コミュニケーション』しか、いつも、おこなっていないと、部下からの『フィードバック』もなく、どの仕事がどれ位の時間がかかるのかも分かりません。
しかも、部下からは嫌われ、信頼も失くし、不平や不満が上がってくるでしょう。
これは、『双方向コミュニケーション』に変えていくと改善されていきます。
『双方向コミュニケーション』をおこなえるようにしていくには、『指示』や『要求』ではない、「元気?」、「体調はどう?」、「家族とはうまくいっているのかい?」などの『自己充足的コミュニケーション』をおこなっていくといいでしょう。
そうすれば、自分のことだけを考えて『指示』しかしない上司から部下を思いやれる上司へと評価が変わっていくでしょう。
- 「服選ぶの手伝って欲しいから、一緒に買い物に行こう」
このコミュニケーションは、彼が彼女に対し、「自分の『欲求』を満たしたいだけじゃん」と思われる可能性がある『一方的コミュニケーション』です。
『共同体』とは、お互いの『欲求』を満たし合って成立します。
この場合、「服選ぶの手伝って欲しいから、一緒に買い物に行こう。その代わり、今度、○○の買い物に付き合うから。いい?」という風に『交換条件』を提示して、『双方向コミュニケーション』にしましょう。
- 「○○(子どもの名前)、今から遊びにいくぞ!!」
子どもだって、一人の人間で、子どもの都合もあるし、子どものやりたいことだってあるのです。
完全な『一方的コミュニケーション』です。
子どもは、成長し、いずれ大人になることを考え、子育てをしましょう!!
この場合、お父さんは、普段から、「学校楽しいか?」、「何に興味あるんだ?」、「夢は何?」などの『自己充足的コミュニケーション』をおこなうようにしましょう!!
そうすると、子どもは心を開き、子どもの方からいろいろと伝えてくれるようになります。
そうすれば、『双方向コミュニケーション』になり、『共同体』となって、お互いが楽しめるように遊べるようになるでしょう。
自己充足的コミュニケーション(例)
- 「相談があるんだけど聞いてくれる?」と言って、相手を誘い、相手の意見も聞き入れず、ただただ愚痴を言う
相手は、「相談」と言われたから、何か助けてあげられればと思い、付き合ったのに、改善方法の意見を伝えてみても、「でも…」と言われ、意見も受け入れてもらえず、ただただ愚痴を言われたら、「それなら、最初から「愚痴言うから聞いて」って言ってよ。それだったら、断って、ずっと愚痴を聞かされる苦痛を味わわなかったのに!!」と思うでしょう。
この人の場合、「そうした後、次はどうしたらいい?」、「私は正しいと思っているんだけど、何か間違っている?受け入れるから教えて。」というように相手に『要求』する『道具的コミュニケーション』をおこなうといいでしょう。
人は誰かに必要とされることに喜びを感じる生き物です。
自分だけで全て背負う必要はないのです。
- 同僚の輪に入って行って、自分のエピソードだけを語る
完全な『自己充足的コミュニケーション』で、典型的な悪い例です。
おそらく、このようなこと続けているから、同僚の輪の中に誘ってもらえない状態なのだと思います。
同僚も言葉で「なんで、自分の話ばかりするんだよ!!」というと棘が立ってしまうため、つまらない表情をしてみたり、わざと咳払いしてみたりなどしていて、この人は気付けるチャンスがたくさんあったと思います。
まず、この人に必要なのが『気づく力』です。
『五感』の視覚や聴覚などのセンサーを使って、しっかり『五感情報』を得て、『気づく』ことです。
それがないと始まりません。
まずは、自分の行動に対しての『相手の反応』に気付き、『道具的コミュニケーション』で修正をしていき、『双方向コミュニケーション』に変えていくといいでしょう。
- 部下の営業成績が悪いのに、腹を立て、ただ怒りをぶつけるだけ
完全な『自己充足的コミュニケーション』で、『一方的コミュニケーション』です。
自分の『気分・感情』を発散したい『欲求』のためだけにおこなわれた行動です。
課長である上司は、部下の営業成績が上がるように指導し、サポートして、育成していかなければなりません。
部下の前では、強気になるのでしょうが、部下が部長にこのことを伝えたらどうなるでしょう。
きっと、部長は部下とまともに『コミュニケーション』がとれない、チームを私物化した、チームワークを作れない課長と考え、罰を与えるかもしれません。
『道具的コミュニケーション』と『自己充足的コミュニケーション』のバランスがとれた『双方向コミュニケーション』をおこなうことは、『社会のルール』と言えるでしょう。