今回の【心理カウンセリングと心理学】のブログは、助けてほしい時は、助ける人を指名しましょうというテーマで札幌『カウンセリング こころの相談所』がお話します。
1964年3月13日、アメリカのニューヨークである注目を集める事件が起きました。
その事件は、被害者の女性の名前から『キティ・ジェノバーズ事件』と言われています。
キティさんは、夜中に帰宅し、駐車場に車を止め、自宅に向かいました。
周りはマンションに囲まれた所です。
その時、不審な男が後をつけてきて、キティさんは警察に電話しようと電話ボックスに向いましたが、その男につかまって、ナイフで刺されました。
そして、キティさんは「助けて!!助けて!!」と大声で叫びました。
すると、真夜中でしたが、マンションの多くの部屋の明かりがつきました。
なんと、その事件を目撃した人は38人もいたのです。
しかし、誰も助けに出ず、自分に危険が及ばない警察への電話も誰一人することはありませんでした。
キティさんに大声を出され、いったんはひるんだ犯人も、周りの人に助ける様子がないため、再び彼女を追いかけ、ついにキティさんは刺し殺されてしまいました。
当時、この事件は話題となり、「都会の人間は冷たいのではないか?」という声も挙がっていました。
この事件がきっかけとなり、どうして38人もの目撃者がいたのに誰一人助けるどころか、警察に電話をしなかったのか研究がおこなわれるようになりました。
その原因に心理学者のラタネは、『傍観者効果』が働いたのではないかと考えました。
『傍観者効果』とは、分かりやすく言うと「自分がやらなくても誰かがやるだろう」という心理効果のことです。
38人という多くの目撃者がいたからこそ、このようなことが起こったのかもしれません。
ただ、これには対応策があります。
もし、自分が危険な目に合い、警察に電話して欲しい時や怪我をして救急車を呼んで欲しい時などは、「誰か助けて!!」ではなく、「そこのあなた、警察(救急車)に電話してください」と指名するのです。
誰かでは誰も動かない可能性があります。
ただ、誰かを指名してお願いすれば、その人は行動しない訳にはいかなくなるのです。